崖っぷちのドラ1田中正義がついにブレイクか。「自分に対して、いい加減にしろよ」 (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「自分の技術に対し、少しずつ自信がついてきたのもあると思います。でも最終的には、自分に対しての苛立ちというか、情けなさが勝っている感じはします。

 いろんな人に助けてもらっていて、正直、言い訳もできないです。みんなに『がんばれ』と言ってもらっているのに、活躍できていない自分に対して『何をしているんだ』という苛立ちが、新しいチャレンジにつながっていると思います」

 これまでは周囲の期待に応えることができず、情けない気持ちがマイナスに作用した。それが今年は、情けない自分をなんとか脱したいとプラスに働いている。

「自分に対して『いい加減にしろよ』というのが一番強いですね。いつまでそこにいるんだ、という。それが今の一番の活力です」

 もがき苦しんだ入団4年間は、決して無駄だったわけではない。

 地道にトレーニングを重ね、徐々に体ができてきた。投球フォームは「最初から最後まで体がつながっているような感じ」とイメージを持ち、体幹を使ってボールにしっかり力を伝えることを1年目から取り組んできた。

「まだ途上の途上ですけど、毎日いろいろ考えながらトレーニングして、少しずつ感覚ができていると感じられるようになってきました」

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 ハードにトレーニングを重ねる一方、故障を繰り返さないための予防にも抜かりはない。練習後にはマッサージを入念にしてもらい、部屋に帰ればセルフケアをする。取材でオフの日の楽しみとして答えている「風呂に長く入ること」も、じつは野球に通じている。

「ずっと思い詰めてトレーニングしていると、交感神経が活発になるんですよね。回復するには、リラックスも大事なので」

 大卒4年間、時間をかけながら徐々に体と技ができてきた。飛躍へ必要なものはわかっている。

「(フォームが固まってきたことで)ある程度コントロールもまとまってきたと思いますし、球速も安定してくると思います。それは、体ができてきたのが一番です。

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