球団事務所には「呼ばれないでくれ!」。由規が明かす昨季終盤の揺れる思い (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Sankei Visual

――楽天では、自身2度目の育成契約からのスタートでしたが、2019年7月には支配下登録。9月26日に行なわれた西武とのレギュラーシーズン最終戦で登板(1回無失点)もしましたね。

「支配下に登録していただいた時は、『やっとここまでこられた』という思いでしたね。シーズン最終戦での登板には気持ちも入っていましたし、球場の雰囲気に乗せてもらったことを今でも覚えています。結果的に、楽天の一軍で投げた唯一の試合になってしまいましたが、あの舞台に戻れた高揚感、『この試合で終わりたくない』という気持ち、投げられなかった悔しさなど、さまざまな感情が入り混じった忘れられない瞬間でした」

――昨シーズンは、新型コロナウイルスの影響によって、予定よりも3カ月ほど遅れて開幕を迎えました。コンディションや気持ちの変化はありましたか?

「開幕が遅れることは予想していませんでした。その期間もトレーニングをして、体のコンディションに対する心配はありませんでしたが、実践から遠ざかって"試合勘"がなくなっていくのは不安でしたね」

――昨シーズンは一軍での登板はなく、秋には東北楽天から契約満了を伝えられました。

「二軍では投げていても、一軍で貢献できていなかったので、シーズンが終わる11月が近づく頃には、何となく覚悟していました。『(球団事務所に)呼ばれるだろうな』という予感と、『呼ばれないでくれ!』と願う気持ちが両方ありました。でも、契約がどうであっても現役を続けたかったので、(2020年シーズンが終わるまでの)少ない試合数でどうやってアピールするか、と気持ちを切り替えました」。

――その後は、12球団合同トライアウトを受験。本番までどのように過ごしましたか?

「契約満了を言い渡されたあと、『これからどこを目指したらいいのか』『何を、どのように仕上げなきゃいけないのか』と、さまざまなことを考えながら本番を迎えました。緊張感もありましたが、本番では余計なことは考えないようにして挑みました」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る