球団事務所には「呼ばれないでくれ!」。由規が明かす昨季終盤の揺れる思い

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Sankei Visual

『特集:東日本大震災から10年。アスリートたちの3.11』
第3回:由規 前編

 昨シーズン限りで楽天を退団した宮城県仙台市出身の由規は、東日本大震災から10年目を迎える2021年を、ルートインBCリーグの埼玉武蔵ヒートベアーズで迎えることになった。度重なるケガに悩まされ、2度の自由契約を経験した由規に、前編では現役にこだわる理由とNPB復帰に向けた意気込み、後編では大震災が起きた当時のことや胸に抱き続けてきた思いを聞いた。

2019年のシーズン最終戦にリリーフで登板し、先発の則本昂大(右)ウイニングボールを渡す由規(左)2019年のシーズン最終戦にリリーフで登板し、先発の則本昂大(右)ウイニングボールを渡す由規(左)――1月末の入団会見からしばらく経ちましたが、4月3日の開幕に向けて調整は順調ですか?

「そうですね。徐々にチームの環境に慣れてきて、いい準備ができていると思います」

――埼玉武蔵は、角晃多監督(元ロッテ)の熱のある指導が印象的です。監督の印象はいかがですか?

「『ひとりひとりの選手をよく見ている方』という印象ですね。入団前、監督からは『NPBへの復帰を全力でサポートさせてください』という言葉をいただき、とても熱意を感じました。僕は"拾ってもらった身"でもありますから、結果で恩返しをしていきたいです」

――弟の佐藤貴規さん(元ヤクルト。2015年、2016年に福島ホープスでプレー)も、かつてルートインBCリーグでプレーした経験があります。埼玉武蔵に入団されるにあたり、お話はされましたか?

「BCリーグでプレーすることを決めた時に、貴規には『自分の時間が多くなるから、その使い方を大事にしたほうがいい』とアドバイスをもらいました。『野球のレベルだけじゃなく、NPBとはさまざまな違いもあるけれど、たくさん感じることがあると思う』と言われたことも印象的でしたね」

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