西武・森友哉、あの号泣の真相。昨季の不調理由と「何より苦しかった」こと

  • 白鳥純一●文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Sankei Visual

 宮崎県の南郷キャンプで順調な調整を行なった、西武ライオンズの森友哉。オープン戦を前にインタビューに応じた森は、「個人としても、チームとしてもダメだった」という、昨シーズンからの捲土重来(けんどちょうらい)の思いを語った。

 2019年シーズンに初の首位打者とパ・リーグMVPに輝き、さらなる飛躍を目指して臨んだ昨シーズンだったが、開幕からまさかの大不振。104試合の出場で、打率はプロ入り後ワーストとなる.251にまで落ち込んだ。リーグ3連覇、日本一を目指したチームも3位でシーズンを終え、日程短縮のため上位2チームで行なわれることになったクライマックスシリーズ進出を逃した。

 昨季の不調について、森は次のように振り返った。

「単純に、ヒットを欲しがっていたところはありました。普段であれば強くスイングしにいくところを、小さなスイングで当てにいってしまい、その修正ができないままシーズンが終わってしまった」

 さらに昨シーズンは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当初の予定よりも開幕がおよそ3カ月遅れになるなど、度重なる日程変更が「狂い」を生じさせた。

「開幕の延期は僕にとって初めてのことでした。(中断期間中は)技術よりも体を鍛える練習を中心に行なっていましたが、なかなか開幕日が決まらず、何をすればいいのかわからない部分もあった。開幕の予定日が決まったあとも思うような修正ができず、いざ開幕してからはヒット狙おうとしてしまったことで、さらに(自身の打撃が)おかしくなってしまいました」

 社会状況の変化も、その「狂い」に拍車をかけた。

「これまでのシーズンは、遠征中に食事に行ったりしていましたが、昨シーズンは難しい状況だった。『気持ちの切り替え』が、うまくできていなかった影響もあったと思います」。

 ソーシャルディスタンスが求められ、思うように結果が出ない自分と向き合う時間が増えたことは、知らず知らずのうちに森を追いつめていった。

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