ノムさん逝去から1年。息子・克則が明かす長嶋茂雄との最後の会話 (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

 亡くなって1年経っても、こうやって取り上げてくださる。オヤジが「野村克也」として野球界に残した功績、影響力はあまりにも大きかったと、息子として誇りに思います。それに今でもみなさんの記憶に残していただいているのは、オヤジが野球人として最後の最後まで活力を失わなかったからだと思います。

 そう思わせる印象深い出来事がありました。

 あれはオヤジが亡くなる20日ほど前の昨年の1月21日。2019年に逝去された金田正一さんのお別れ会でのことでした。参列していたオヤジと僕が、会が終わって帰ろうとした時に、大勢の参列者がいるなか偶然にも長嶋茂雄さんと鉢合わせたんです。

「おう、長嶋! オレはまだ元気に生きているからな!」

「おぉ、ノム! 元気そうだねぇ」

 あいさつ程度の短い会話でしたが、オヤジは本当にうれしそうで......あの光景が今でも忘れられません。

「オレはまだまだ生きるからな。おまえも頑張れよ。でもな、長嶋。おまえより先には絶対に逝かんぞ!」って言っていたようで......「打倒・巨人」「打倒・ON」のライバル関係はオヤジのなかでは続いていたんです。

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