廣岡達朗がセ・パ格差議論に苦言「見誤ると本質が見えてこなくなる」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

 DH制導入を積極的に訴えかける原監督についても、廣岡氏の舌鋒は鋭い。

「日本シリーズで2年連続してソフトバンクに4連敗を喫してしまった。本来ならば監督が辞任すべき大問題ですよ。ところが原は、そして原の腹心であるコーチ陣たちは誰もユニフォームを脱がない。それどころか、あろうことか『DH制度を導入しないからセ・リーグはパ・リーグに勝てないのだ』と議論をすり替えようとしている。どうして、原があそこまでDH制導入を声高に訴えているのかわかりますか?」

 一拍の間を置いて、廣岡氏は続けた。

「自分の持つ巨大戦力を使いこなせない言い訳ですよ。広島から移籍した丸佳浩、オリックスから加入した中島宏之はそれなりに活躍した。でも、たとえば、日本ハムから移籍した陽岱鋼はどうですか? 元西武の炭谷銀仁朗は? さらに2021年からはDeNAから梶谷隆幸も加入する。これだけの巨大戦力を使いこなせていない。みんな飼い殺しですよ。だから原は、『ひとりでも多く使えるように』という思いでDH制にこだわっているんです。決してリーグ全体の繁栄、発展を考えているわけじゃない」

【DH制があろうとなかろうと、どちらでもいい】

 前述したように、廣岡氏はセ・リーグではヤクルトを、パ・リーグでは西武をともに日本一に導いている。その廣岡氏が考える「DH制の戦い方」について尋ねると、ヤクルト監督時代の「ある助っ人」との思い出話を切り出した。

「ヤクルト監督時代にチャーリー・マニエルという外国人がいました。彼の長打力は確かにチームとしては貴重な戦力でした。でも、守備や走塁に関して言えば、彼はチームのためにはならなかった。あるとき、試合途中で彼をベンチに下げたことがありました。メジャーリーガーにとって、それは屈辱的な出来事であることを私は理解していました。だから試合中に彼を呼んで、『今のままの守備力では試合では使えない』と説明しました。それが功を奏して、以来、マニエルは守備にも手を抜かなくなりました」

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