ダルビッシュも指摘したセ・パのフィジカル差。巨人の罰走に意味ある? (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「ピッチャーは球が速くなると、空振りを取りやすくなります。バッターは打球が速くなるとヒットが出やすくなり、長打の確率も上がります。フィジカルの強化をチーム全体でやると、勝つ確率が高まります。将棋で言えば"飛車、角"が増えた状態で指せる。他のチームは"歩"ばかりだと、差は歴然です」

 昨年の日本シリーズでは柳田、グラシアル、デスパイネがパワーを見せつけ、千賀滉大、石川柊太、モイネロが150km超の豪球でねじ伏せた。9番打者の甲斐拓也は170cmの小柄だが、"マンブリ"で2本の本塁打を突き刺した。

「一昨年、自主トレに来たソフトバンクの選手とサウナに行っていろいろ話しました。トレーニングに熱心な選手が多いという印象ですね。チームとして、ベースとして身体をしっかり作るという大前提があるのかな。パ・リーグの中にもやり切れていないチームはありますし、差があるように感じます」(高島氏)

 球団がトレーニングしやすい環境を整えることも大事な一方、個人事業主の選手たちは各自で取り組むことも求められる。高島氏が高校時代から見ているオリックスの山岡は、そうした意識が強いひとりだ。

 一般的には筋肉量が多ければ出力も高まりやすいなか、172cm、68kgの体躯から最速152kmを投げる山岡は「特殊タイプ」だと高島氏は言う。

「柔らかさもあるし、身体操作の精度が高い。垂直跳びでは余裕で80cmを飛びますからね。あの身体でありながら、もう少し球の強さを上げていきたいと取り組んでいるところです」

 大事なのは自分の特性を認識し、その上でフィジカルを作り上げていくことだ。2019年に12勝を挙げて新人王を獲得したソフトバンクの高橋は、同年1月から高島氏とともにレベルアップを図っている。

「普通のアンダースロー投手はフィジカルがないように思われますが、高橋投手は瞬発力がある。アンダースローでも150kmを目指せる選手だと思います。それにはもう少し柔らかさと、強さがほしいですね」

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