ダルビッシュも指摘したセ・パのフィジカル差。巨人の罰走に意味ある? (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 そうした取り組みと最先端の理論に感銘を受けた高島氏は自学を重ね、現在は「野球パフォーマンスアップスペシャリスト」を名乗るまでに。広島のジムはラプソード(トラッキングシステム)やモータス(投球解析ウェアラブルデバイス)など最新機器を備え、トレーニングと野球のパフォーマンスをつなげる指導は多くのプロ選手から信頼を得ている。

「うちに来る選手はパ・リーグばかりです。パの選手たちはトレーニングするのも当たり前だし、自分にフィットした身体にしようという認識がある。セの選手はちょこちょこ来て、というパターンが多いですね」

 パ・リーグではオリックスの山岡泰輔や榊原翼、K-鈴木、杉本裕太郎、ソフトバンクの高橋礼や松本裕樹、楽天の森原康平や太田光、セ・リーグでは昨年ソフトバンクからヤクルトに移籍した左腕投手の長谷川宙輝、地元広島の正隨優弥や羽月隆太郎らが自主トレに励んでいる。

 高島氏が2004年までオリックスに在籍していた頃、球界でトレーニングはさほど重視されていなかったという。「他球団と話すな」という時代で、相手の事情も不透明だった。

 それが海を渡る日本人選手が増えていくと、人の交流が生まれ、アメリカから届く情報も多くなっていく。スマホが普及し出したのも、この頃だ。

 情報が増えて進化するためのアプローチ法も多彩になっていくなか、いち早くフィジカルの強化に力を注いだのがソフトバンクだった。成果は見事に表れ、2010年代の日本シリーズでは現在の4連覇を含め7度制している。

 ソフトバンクが栄華を極めた2010年代、球界全体で加速したのが「パワー野球」だ。

 投手の平均球速は145km近くまで達し、"フライボール革命"の到来で打者は打球速度や打球角度への意識を強めた。トレーニングで身体を作り上げ、その操作性を高めて出力を増やしていく。そうした「パワー野球」がとりわけパ・リーグで根づいた。

 フィジカルを高めるメリットについて、高島氏はこう説明する。

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