江本孟紀がセの弱体化に物申す。「ソフトバンクのコーチ人事を学べ」

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 昨季のパ・リーグで、ソフトバンクに12勝11敗と互角に渡り合ったのがロッテだった。支配下登録選手の平均年俸はソフトバンクが12球団トップの9878万円だったのに対し、ロッテは最低で3751万円(日本スポーツ企画出版社の『2020プロ野球写真&選手名鑑』開幕前のデータより)。それでも2位と躍進した要因には、「人事」の影響を見て取れる。

 現役時代にワールドシリーズを制した井口資仁監督の下、投手コーチに吉井理人、ヘッド兼内野守備コーチに鳥越裕介(今季から二軍監督)という"スペシャリスト"を招聘。打撃コーチの河野亮は現役時代の実績こそ少ないものの、楽天で二軍総務や星野仙一元監督の運転手などを務めた後、二軍打撃コーチに抜擢された。そうした手腕を評価され、現在はダイエー時代に同僚だった井口監督の"右腕"になっている。

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 ロッテはこうして土壌を整えるなか、投手陣では二木康太や小嶋和哉、打者では安田尚憲や藤原恭大という主力候補が台頭してきた。適材適所の人事があるから、選手の成長につながると江本氏は言う。

「井口監督の下、ロッテも成果が出たわけです。まだ長期的なものではないけれどもね。野球チームの基本は人事です。ヨソのチームはそこが抜けているから、ソフトバンクから学ばないといけない」

 人事は組織を機能させるための設計図であり、同時にエンジンとなるものだ。チームが目指す理想を踏まえ、コーチを適材適所で配置していく。そうして組織の間に健全な競争が生まれ、チーム全体がレベルアップしていく。

 世界一という崇高な目標を掲げるソフトバンク。"1強"と言われる牙城は、なかなか揺るぎそうにない。

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