田中将大と契約しなかったヤンキース。「第2エース」確立をどう考えたか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

 そんな経緯を経て迎えた今オフ。ヤンキースは緊縮財政の中で、"第2エース"になり得る投手を模索するという難しい作業を余儀なくされた。そこで獲得されたクルーバーは、2014、2017年に2度のサイ・ヤング賞を獲得した実力の持ち主。4人のプロスペクトと引き換えにパイレーツからトレードで獲得したタイロンはブレイク前だが、2010年のドラフト1巡目全体2位で指名された投手であり、ポテンシャルは高く評価されている。

 クルーバー、タイロンはどちらも故障明けであり、2021年もその影響を引きずるリスクは少なからずある。それでも少なくとも現時点で、ヤンキース首脳陣には2人のアップサイド(上昇余地)が田中の安定感よりも魅力的に映ったということ。新加入投手のうちのどちらかが、近い将来に"第2エース"として確立する可能性のほうにかけたのだろう。

 少々手厳しい判断をされたが、それでも田中がニューヨークで過去7年にやり遂げたことの功績が消えるわけではない。ヤンキースのチームメイト、ファンからの人気、信頼は依然として抜群。首脳陣からもおそらく"上質な先発3番手"くらいの評価はされていたはずだ。

 FAになったのがパンデミック下という難しいタイミングでなければ、相応の投資はされていたのではないか。また、会見での次のような言葉を聞く限り、メジャーの他のチームからは主戦格としての条件提示を受けていたようだ。

「アメリカからも、どういうオファーがあったのかという話は出てくると思う。世界中がコロナ禍で厳しい中でも、7年間向こうでプレーしたことをものすごく評価していただき、大きなオファーというものもありました」

 そんな中でも、田中は最終的には古巣・楽天へのカムバックを選択した。これは想像でしかないが、愛着のあるヤンキースか楽天でプレーすることにこだわったのであれば、実にロイヤリテリィに溢れた田中らしい。

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