高木勇人が語る人的補償。「いい度胸してんな」と栗山巧に言われた失態とは? (2ページ目)

  • 森大樹●取材・文 text by Mori Daiki

 移籍となれば、環境や人間関係の変化を不安に思ってもおかしくない。しかし、その点は気にならなかったという。

「僕は、新しい環境に話せる人がいなくても大丈夫なんです。『誰と喋ろうか』とか、『自分から喋ったほうがいいのかな』とかは気にしないので。練習に関しても同様で、『その球団のやり方でやろう』という感じです。2016年のオフに海外(プエルトリコのウインターリーグ)に行った時は何もかも違ったんですが、そこで免疫がついたのか、国内のチームなら多少異なることがあってもそこまで影響はないですね」

 環境の変化に動じないマインド、"鈍感力"が、その後のキャリアにおける挑戦を可能にしたのだろう。しかし西武への合流初日に、高木は予期せぬ災難に見舞われて慌てふためくことになる。

「チームでの最初の顔合わせが出陣式の日だったんですけど、僕はまだ東京に家があったので、所沢の球場まではかなり距離がありました。それでも『さすがに2、3時間あれば着くだろう』と車で家を出たのですが、通り道だったレインボーブリッジから炎が上がっていたんです。事故で車が燃えて、完全に通行がストップ。映画(『踊る大捜査線』)では『封鎖できません!』となっていたのに(笑)。

 仕方なく回り道をしたら、今度は雪でストップ。結局は到着まで5、6時間かかってしまい、新入団選手紹介にも出られず、なんとか最後の写真撮影だけ間に合いました。出陣式はもう終わりかけで、みんなクスクス笑っていましたよ。隣の席が栗山(巧)さんだったんですが、『お前、いい度胸してんな』と冗談交じりに言われました(笑)」

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