内川聖一が現役にこだわる理由。新天地で楽しみたいこと、学びたいこと (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by スポーツ報知

 新天地で迎える新たなシーズンには、楽しみがある一方で、不安もあるという。

「そうですね。両方の感情があります。新たな野球人生が始まるという感覚で楽しみにしているところも当然ありますけど、チームがどんな雰囲気かなとか、知らない人がいっぱいいるなかでやるのはどんな感じなのかなとか。社交的に見えて、僕、けっこう難しい人間なんですよ。若い子からすれば、どんな感じに見えるのかな。怖くはないとは思うんですけどね(笑)」

 短いシーズンオフを終え、内川は1月に入り、宮崎と地元の大分で自主トレを行なった。どのようなテーマをもって新たなシーズンに臨んでいくのだろうか。今年8月には39歳となる。なにより重要となるのは、コンディション面だ。

「身体の強さに関しては、継続的にやって来たものを今年もやっていこうと思っています。この年になると、ケガが一番怖いので。自主トレでもまずはそこを意識して、コントロールしながらやっています」

 一方で、より意識しているのは、やはりバッティング面だ。内川は今年のテーマについて「我慢」というキーワードをあげた。

「気持ちよくホームランを打ちたい欲求が、2015年に4番を打ってからどんどん強くなっているのは否めません。でも、今年は一瞬の快感を求めるよりも、そこを我慢しながら、センター、バックスクリーンを中心に、カーンと強い打球を打つんだという意識ですね。あらためて、内川聖一のバッティングを作ってやろうという想いでいます」

 原点回帰ですか? そう尋ねると、内川は首を横に振った。

「打球の質としては原点回帰ですけど、そこに行きつくプロセスは違います。形を元に戻すというよりも、新たなものを作って、打球の質を戻すという感覚ですね」

 超一流のバットマンはアラフォーになっても、いまだ進化を止めようとはしていない。

 新天地では結果もさることながら、自身の経験値を還元する役割も求められるだろう。内川自身も、「球団からも言われたので、若い選手を見ることも多くなると思う」と理解している。

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