板野友美と入籍のヤクルト高橋奎二、成長の軌跡。父が語る結婚の影響 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 高橋への期待が大きかっただけに、苦渋の決断となった。思わぬスタートとなったが、二軍で2試合に先発し、1勝0敗、防御率1.80。7月に一軍昇格を果たした。

 4度目の登板となった7月30日の阪神戦(神宮球場)。プロ初完封こそ逃したが、8回無失点でシーズン初勝利。この試合で強く印象に残ったのは、これまでのように簡単に追い込みながら、そこからボールを連発して逆に追い込まれてしまうという場面がなかったことだ。

「せっかく追い込んだのに、三振を狙って力んだり、カットされたりしてフルカウントになることが多かったですからね。だから追い込んだらゴロを打たそう、凡打してもらおうと意識を変えました。それがうまくいったことは収穫ですし、継続していきたいと思っています」

 試合後、高津監督は「あの奎二がね(笑)。本人もうれしいだろうけど、僕もうれしいね」と記者の質問を待たずに話した。

「高橋は投手として大事な"カッとなる一面"を持っていて、性格は相変わらず甘えたですけど、甘え上手というか母性本能をくすぐられるタイプですよね(笑)。一生懸命練習するし、礼儀もしっかりしている」

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 このまま大きく飛躍するかと期待されたが、結果がついてこない。高津監督からも厳しい言葉が聞こえてきた。

「彼は常に全力を尽くすタイプで、手を抜くということがまったくないんだけど、それが空回りしてしまうことがある。気持ちが前に出てしまい、体と心のバランスが取れないというか。でも毎年少しずつ、毎試合少しずつ成長していると感じますし、僕の要求するところはもっともっと高いところにあります。そこに少しでも近づいてほしい」

 結局、2020年シーズンは10試合に登板して1勝3敗に終わったが、防御率3.94は前年の5.76から大きく改善。ちなみに二軍では4試合に登板して2勝、防御率1.29。フェニックスリーグでも3試合に登板して安定したピッチングを見せた。

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