板野友美と入籍のヤクルト高橋奎二、
成長の軌跡。父が語る結婚の影響

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 一軍初登板はその年の9月5日、神宮球場での中日戦。5回5失点だったが、初回は140キロ台後半のストレートを連発した(最速は149キロ)。高橋は試合後、このように語った。

「今はまだ頭のなかで整理できていないですけど、四球と投手にヒットを打たれたことが反省です」

 だがその表情はじつに晴れやかだった。そして10月2日、DeNA戦でプロ初勝利。筒香嘉智(現・レイズ)を3打席連続三振に打ち取るなど、見事なピッチングを見せた。

「今年は知らない自分に出会えました」

 シーズン終了後、高橋はプロ3年目をこう振り返った。

「春の時点では、たしかに140キロ前半の真っすぐとコントロール重視という考えでした。ケガを繰り返したくなかったので、抑えていった部分はありました。でも、シーズンが始まり実戦を重ねていくなかで、試合で10球ほど思いきり投げられるようになり、夏場になると全力で投げられるようになった。そこから打者や状況によって、力を加減することの理解も深まってきたと感じました」

 2019年シーズンは間隔を空けながらの登板が予想されたが、シーズンを通してほぼ中6日で回り、スタミナを証明して見せた。しかし20試合に登板して4勝6敗、防御率5.76と、残した数字に達成感はなかった。

「今年は自分の実力を知った1年でした。先発が足りず投げさせてもらっているだけで......よかったところもありますけど、ほぼ悪かったです。バッターと勝負できていないと感じましたし、真っすぐも変化球もストライクが入らず、走者をためたところでボールが甘くなって打たれる。負けパターンはほぼ一緒だったので、そこは全然ダメやったなと思っています」

 昨シーズン、高津監督は開幕投手候補のひとりとして高橋の名前を挙げたが、オープン戦、練習試合で状態が上がらず、開幕一軍も逃すことになった。高津監督が言う。

「開幕前の練習試合のあたりは、投げる球が悪く、精神的にもいい状態ではなかったですね。本当は最初からローテーションに入れて......と思っていたんですけど」

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