プロ野球もったいない選手たち2021。
才能開花でレギュラー奪取なるか

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 昨年公開された拙稿「12球団の『もったいない選手』たち。能力は超一流も定位置奪取できない」は、多くの読者に読んでもらえたようだ。

 そこで、2021年版の「もったいない選手」を紹介してほしいと編集部よりリクエストを受け、すぐにリストアップ作業に入った。だが、作業はすぐに壁に当たった。昨年すでに紹介した「もったいない選手」の多くが、もったいないまま1年を終えてしまったからだ。

 代表例は「12球団で一番もったいない男」こと江越大賀(阪神)である。

 昨季は開幕前の実戦で解き放たれたように快打を連発。「無観客の申し子」になるかに見えた。だが、結局は外野レギュラー陣を脅かすには至らず、シーズンでの起用は代走か守備固めに限られた。与えられた打席数は入団6年目で最少の13。しかもノーヒット、6三振という惨状である。

 江越を「12球団で一番もったいない」と最初に評したのは、50歳まで現役生活を送った球界のレジェンド・山本昌さん(元中日)だった。江越と対戦歴があり、阪神の臨時コーチとしてプレーを見ていた山本昌さんはこう語る。

「僕は現役時代、ルーキーだった江越くんにファームで2打席連続ホームランを打たれているんです。あのスイングを見ているので、やっぱり期待してしまいますね。肩が強くて、守備はうまくて、足も速い。身体能力はチームでずば抜けて高いですし、もっとやれるはずなんです。遅咲きでもいいから、レギュラーを獲ってもらいたいですね」

 練習だけ見ていれば、「侍ジャパンの選手かな?」と思っても不思議ではない。確実性の乏しい打撃はクリアすべき課題が多いものの、均整の取れた肉体と躍動感のある身のこなしには依然として夢が詰まっている。

 江越に限らず、もったいない選手には外野手が多い。かねてより層の厚いDeNA外野陣では、レギュラー中堅手・梶谷隆幸の巨人移籍で競争の激化が予想される。

 とはいえ、ポスト梶谷の筆頭候補は2019年のレギュラー中堅手・神里和毅だろう。27歳と若く、伸びしろも残すだけに、梶谷の穴を感じさせない活躍を見せる可能性は高い。

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