2021.01.14

大久保博元が語る西武で巨漢打者が
育つワケ。ドラ1渡部に「減量は必要ない」

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

 重量があり、速く走ることはできない。それなら遠くに飛ばせるという武器を最大限に生かしたほうがいい。西武、そして巨人での現役時代、大久保氏がホームラン打者を目指したのは非常に合理的な思考だった。

「俺が二塁にいても、外野にちょっと前進守備を敷かれたら、ヒットが出てもホームに返れない。 俺がヒットで塁に出ても、基本的に"一塁打"です。でも体重を生かしてホームランを飛ばせば、"四塁打"をとれる。ホームラン狙いにすると率は下がるけど、塁打を多くとるという考えになりました」

 いわゆるOPS的()な発想だ。チームの得点を増やすには、出塁と長打がポイントになる。大久保氏の特徴を踏まえると、多少出塁率を下げても長打率を上げることができれば、チームの得点につながりやすい。そうした自身の経験を踏まえ、中村にはホームラン打者を目指すべきだと説いた。
※OPSとは野球における打者を評価する指標のひとつで、出塁率と長打率を足し合わせた数値

「エラーするのはしょうがない。その分、打てばいいんだよ」

 実戦を重ねるごとにハンドリングに磨きをかけていった中村だが、入団当初は守備のミスが多かった。高卒7年目でサードのレギュラーに抜擢された2008年にはリーグ最多の22失策。ミスを犯すたび、大久保氏は中村に言った。

「おまえはホームラン20本くらい打てるんだから帳消しだよ。だって、監督がDHで使えばいい話じゃん。それをサードで使っているんだから、監督と俺らの責任だ。気にするな」

 のびのびとプレーさせる環境を整える一方、技術的にも導いた。2007年秋の南郷キャンプで中村の打撃を見た際、「いろんなことを詰め込まれすぎたバッティングスタイル」と大久保氏の目に映った。

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 長打力を発揮し切れていない原因は、体重移動と、打つポイントが近すぎることにある。では、どうやって修正させていくか。そこで生かしたのが、ゴルフで学んだコーチングだった。

「コーチングで一番大事なのは、1個の練習法に取り組んだら問題が全部解決するようにすること。おかわりの問題は軸足に体重がしっかり乗らず、前足にしっかり移り変わっていないことでした。体重が乗らないから、(角度をつけるために)下から打とうとする。