山本昌が認定する現代の魔球6選「変化球がエグい!」投手は? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro,Kyodo News

昨季、自身初の沢村賞に輝いた中日の大野雄大昨季、自身初の沢村賞に輝いた中日の大野雄大■大野雄大(中日)のツーシーム

 私にとっては中日の後輩である、大野投手のツーシームもすばらしい魔球です。

 プロ球界にはいろんな種類のツーシームを投げる投手がいます。たとえば黒田博樹くん(元広島ほか)が投げていた、シュート系の変化をするツーシームもあります。大野投手のツーシームはフォークに近く、落差が大きいのが特徴です。

 フォークと違うのは、シュート回転が少し強めにかかっているところ。右打者の真ん中からインコースには落ちてこず、アウトコースに逃げるように落ちていきます。つまり、甘いコースに入ってこないのです。

 大野投手と対戦したバッターに聞くと、「途中まで真っすぐに見えるんです」と言っていました。一般的なフォークと違って回転がある分、ストレートと見分けがつきにくいのでしょうね。

 2018年は未勝利に終わりましたが、当時はカットボールを覚えてツーシームと併用した結果、キレが失われたように見えました。2019年からカットボールを捨てて球種を絞った結果、ツーシームが頼れるボールになりました。

 2020年はさらにツーシームを落とすコツをつかみ、2年連続での最優秀防御率のタイトル獲得につながりました。

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