入団拒否、浪人生活、猛バッシング... 巨人愛を貫いた男たちの波乱万丈【2020人気記事】

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 それでも、菅野の意志は揺るがなかった。日本ハムの指名を拒否した上で、1年間は大学施設で練習する「浪人」の道を選んだ。1年を棒に振る菅野の決断を、冷ややかに見る球界関係者やファンも少なくなかった。

 翌2012年のドラフト会議で巨人から2年連続の1位指名を受け、菅野は晴れて入団を果たす。1年間のブランクを心配する声は、シーズンが始まるとすぐに沈静化した。1年目に挙げた成績は13勝6敗、防御率3.12。新人王は16勝を挙げた小川泰弘(ヤクルト)が選ばれたものの、文句のつけようのない結果だった。

 それ以来、入団7年間で通算87勝47敗、防御率2.36と抜群の安定感を見せつけている。今季は9月7日現在、11試合に登板して9勝0敗、防御率1.57と圧巻の成績。押しも押されもせぬ、球界を代表する大投手に成長した。

 今や菅野のことを「原監督の甥」と呼ぶ者は誰もいない。入団時の経緯については賛否両論があるだろうが、これだけの実績を積み上げた菅野のプロ人生はあらためて称えられるべきだろう。

 さまざまな人間模様を映し出す「巨人志望」だった選手たち。今後はこのまま絶滅するのか、それとも──。

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