巨人・戸郷翔征の打ちづらさは天下一品。 藤原、根尾らを子ども扱いしていた【2020人気記事】 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

 テイクバックで腕を伸ばし加減にして、いったん固定してから一気にぶん回してくるスタイルは、打者にとってはタイミングを取るのが難しく、とくに右打者は抜けたら背後にボールがきそうで、踏み込むのをためらってしまう。

 この白皙(はくせき)のスリークォーターが、まだ高卒2年目の"若僧"だと思うたびに、広島の強打者たちは苛立ちを募らせたに違いない。「すごい投手」というよりは、「嫌らしい投手」という印象だろうか。

 スピード勝負の投手は、調子のいい日にしか通用しない。しかし、打ちづらい投手というのは、調子が悪い時でも5、6イニングならなんとかしのげる有利さがある。

 この戸郷のようなタイプが、いつの間にか一軍に定着し、ローテーション投手として10勝を挙げている......プロ野球って、意外とそういうところだ。そして、こういう投手がいるチームは間違いなく強い。

 巨人の新鋭・戸郷からいよいよ目が離せなくなってきた。

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