赤星憲広が阪神の守備に苦言。「グラウンドのせいにはできない」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

── 一方で、投手はいかがでしょうか。

「ともに11勝を挙げた秋山(拓巳)投手、西(勇輝)投手の頑張りが目立ちました。特に秋山は防御率2.89でキャリアハイ。決して球速が速い投手ではないですが、それで結果を残せたことは自信になったでしょう。また、青柳(晃洋)投手は7勝9敗で貯金こそ作れませんでしたが、1年間ローテーションを守ってくれました。

その先発3本柱と、昨シーズンほどの盤石さではなかったものの、リリーフ陣も奮闘しました。シーズン前から、巨人に対抗できる戦力があるとしたら阪神だと思っていたので、リーグ2位という順位自体は妥当だったと思います」

──それでも巨人に大きく差をつけられてしまった理由は、やはりエラー数リーグワースト(83個)の守備でしょうか。

「それに尽きます。昨シーズンからの大きな課題でしたが、改善は『失敗した』と言わざるを得ません。動きに向上が見られたのはショートの木浪(聖也)くらいでしょうか。巨人のエラー数(43個)の2倍近い数字ですけど、数字になっていない小さなミスも多く、それで接戦を落とすことが目立ちました。

 エラーの話をする時に『阪神は本拠地の甲子園が土のグラウンドだからしょうがない』という声がありますが、なんの言い訳にもなりません。むしろ甲子園に慣れているほうがエラー数は少ないはずですし、他球団のホームでも阪神の守備陣はミスが多い。練習の仕方を再考しないといけませんね」

──今シーズンは、藤川球児さんが引退し、能見篤史投手がオリックスに移籍と、ベテラン投手2人が阪神を去りました。

「球児はプレーだけでなく、チームメイトに対して自分の考えを伝え、互いに成長するためのコミュニケーションが取れる投手でした。BCリーグから阪神に復帰してからの5年間、彼の言動を見てきた若い投手たちが"藤川イズム"を継承してくれていると信じたいです。

 能見投手は先発、ここ数年はリリーフでも活躍しました。彼も発信力が高い投手でしたね。ポーカーフェイスなのでクールに思われがちですが、彼はけっこうおしゃべりなんですよ(笑)。阪神での最後の登板で投じた150キロ前後のストレートからは、『まだまだ行ける』という気持ちを感じましたし、オリックスでも頑張ってほしいです」

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