山本昌が早川隆久のフォーム論に驚き「40歳で気づいたことを22歳でしている」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sano Miki

山本昌 螺旋状というと、右足を着いた時に左ヒザの向きはどっち側に向く?

早川 右足はホーム方向に動いていくんですけど、左足のヒザはそのままで、投げるギリギリのタイミングでねじっていく感じです。

山本昌 だったら、軸足の割れ(ステップ足のヒザはホーム方向、軸足のヒザはマウンド方向と反対側に向く動き)は意識しているんだね。

早川 そうですね。割れは少し残すような感じにして。

山本昌 そこは僕が昔から意識していたところなんです。軸足が割れることで、ボールに「最後のひと押し」が加えられる。あと、コントロールのいいピッチャーって、みんなその形になるんですよね。

早川 そうなんですか?

山本昌 軸足で立ってから、ヒザが先に折れていくピッチャーもいるでしょう? 折れていくピッチャーは、最後に一瞬、キャッチャーを見られないんです。最後にヒザが割れているピッチャーは、一瞬だけキャッチャーを見られて、修正ができる。

---- 早川投手の軸足の使い方は、まさに今春以降に直していたところですよね?

早川 そうですね。自分の場合は股関節が沈み込みやすくて、地面からの反発をもらえずに力が逃げてしまっていたんです。沈み込まないように意識して、位置エネルギーを使いながら回旋、回転することで球速も一気に上がりました。

山本昌 いいですね。僕も晩年、軸足側の股関節にしっかり体重を乗せて、左ヒザをあまり折らずに投げるようにしていたんです。高い位置で移動して、マウンドの傾斜を使ってドンと落ちる。そのエネルギーを投球の力に加えるようにしたんですよ。

早川 はい。わかります。

山本昌 早川くんのマウンドの傾斜を使うという話を聞いて、ビックリしたんです。マウンドの傾斜をうまく使おうとするピッチャーって、プロでも少ないので。僕が40歳くらいで気づいたことを、もう22歳でやっているのだから恐れ入りましたね。

早川 ありがとうございます(笑)。

山本昌 早稲田大野球部でやっている動作解析というのは、昔からやっていたことですか? それとも小宮山監督が就任後に積極的に取り入れたのかな?

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