トライアウト受験→別業種に転身。「あの人」たちは今どこで何をしているか (3ページ目)

  • Text by Sportiva
  • photo by Sankei Visual

 その後、テレビ番組制作会社に就職し、日本テレビ系の人気番組だった『ナカイの窓』を担当。野球好きの中居正広氏がMCを務めていたこともあり、アシスタントディレクターの肩書ながら、同番組に出演したことが大きく話題になった。

 その後は同業の別会社に転職し、約6年間社会人経験を積んだあと、2020年2月に人材派遣会社「W-TK」を起業。プロ野球選手から会社員、そして今度は一国一城の主となり、忙しい日々を送っている。

 最後に、野球から別競技のプロに転身した珍しいケースを紹介する。西武を戦力外になった2017年にトライアウトを受験し、現役を引退。その後、クリケットのプロ選手へと転じた木村昇吾がその人だ。

 2017年のトライアウトで、2008年から2015年まで所属した広島の本拠地・マツダスタジアムで雄姿を見せただけでなく、不祥事が原因で戦力外となった選手に対し、「今日は楽しく野球をやろう」と明るく声をかけるなど、その人格者としての顔も注目を集めた。

 実戦では長打を1本放ったものの、他球団との契約には至らず。しかしながら、高い身体能力がクリケット関係者の目に留まり、転向を打診された。現在は日本国内のプロチームに所属しながら、将来的にクリケットの本場であるインドの最高峰リーグである「インディアン・プレミアリーグ」への参戦を目指している。

 クリケットの現役選手としてのプレーと並行して、自身のユーチューブチャンネルを開設するなど、クリケットの普及活動にも力を注いでいる。競技の知名度向上、自身と同じく「プロ野球選手からプロクリケット選手」というセカンドキャリアを定着させる活動にも尽力している。

 2018年までDeNAに所属した山本武白志(むさし)が同様にクリケットに転じるなど、木村の存在が元プロ野球選手に新たな選択肢を与えつつある。

 今年も、トライアウトを終えた大多数の選手が現役にピリオドを打つことになるだろう。完全燃焼できたのか、それとも志半ばなのか......。それぞれの思いがあるのは間違いないが、野球以外のステージにも、彼らが輝ける場所がきっとあるはずだ。

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