32歳、澤村拓一が意外な人気のワケ。コロナ禍で気になる日本人のMLB移籍 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

 このなかで"別格"は、沢村賞に2度輝いた菅野だ。長谷川氏は、「日本のレベルであれだの成績を出しているピッチャーだから、それなりの契約にはなるのでは」と見ている。

 一方、有原と澤村は"割安"の分類だ。今季の推定年俸は、有原が1億4500万円、澤村は1億5400万円。有原は2020年のフォーシームの平均球速が148.5キロとメジャー平均を下回るものの、チェンジアップやカットボールなど球種の多さが評価される。澤村の武器は150キロ台の速球と高速フォークだ。

 気になるのは、コロナの影響がどう出るか。大幅な減収について、長谷川氏は「獲得に影響が出る球団もあるかもしれないが、そうでないところも絶対ある」と言う。

 一方、例年のようにスカウト活動をできなかった点についてはこう見ている。

「今は映像もデータもすべて取れる時代です。球団によっては日本にスカウトを置かず、データで判断する。これまでの情報を踏まえ、『チームにフィットするなら』と獲得に動く球団もあると思います」

 トラックマンの普及もあり、各球団は映像やデータから投手の特徴を把握できるようになった。さらに、多くの日本人投手がMLBで活躍してきたという前例もある。

 加えて"追い風"になるのが、近年のトレンドだ。ブルペンデーやオープナーなど投手の分業制が進むなか、リリーバーの需要が高まっている。元阪神のラファエル・ドリス(ブルージェイズ)、ピアース・ジョンソン(パドレス)、元日本ハムのクリス・マーティン(ブレーブス)は、日本での活躍も評価されメジャー復帰を果たした。

 中継ぎ投手の需要が高まる背景について、長谷川氏が説明する。

「先発ピッチャーが1試合で3、4回同じバッターと当たれば、当然バッターに対応されます。でも、中継ぎピッチャーは1試合のなかで数人としか対戦しません。シーズンの間に何度も当たるわけではなく、活躍しやすい面があります。

 ジョンソンやドリス 、マーティンと比較して、『このピッチャーは日本で同じような成績を残しているから、メジャーでも1イニングなら抑えられるんじゃないか』とイメージしやすい。とくにフォークなど三振をとれる球を持っていれば、なおさらです」

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