鉄人・衣笠から「割り箸を用意しろ」の助言。八重樫幸雄が感謝したこと (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――なるほど、連続試合出場記録を誇る「鉄人」なら、何かいいアドバイスをもらえそうですね(笑)。

八重樫 最初に「衣笠さんは人差し指を骨折したことありますか?」って聞いたら、「あぁ、何度もあるよ」って言われて、「さすがだな」って思ったよ(笑)。で、「そういう場合はどうすればいいですか?」って聞いたんだよね。

【衣笠からの効果的なアドバイス】

――実体験に即したアドバイスがもらえそうですね。

八重樫 衣笠さんいわく、「まず割り箸を用意しろ。そして、それを副木として人差し指に添えて、テーピングで固めればいい」って言うんですよ。で、言われた通りにやってみて、試合前の練習でセカンドにスローイングしてみたんです。でも、痛くて痛くてしょうがなかった(笑)。右手の指先はボールに触れないように、指の腹の部分だけ触れて投げるんだけど、勢いのあるボールは投げられなかったな。

――人差し指のつけ根から第一関節まで割り箸で固定して、骨折している指先は裸のままにしておくんですね。でも、割り箸が添えられた状態ではボールも握りづらいし、指先もボールに触れないとなると、チェンジアップ気味のボールになるんじゃないですか?

八重樫 チェンジアップよりも、さらに緩いボールだったかな? 何とかセカンドベースまでは届くけど、絶対に盗塁は刺せない(笑)。衣笠さんはそれで内野を守っていたんでしょう。やっぱり、すごい人ですよ。だから守ることはあきらめて、代打に専念する形でオールスターに出たんです。

――それでも、結果的にオールスターに出場できたのは、ある意味では衣笠さんのおかげだったんですね。

八重樫 あのときは初めてのオールスターだったし、あの王さんが監督推薦で選んでくれたから、どうしても出たかった。本当に衣笠さんのおかげです。でも、そのオールスターで対戦したのが、ヤクルトから近鉄に移籍していた鈴木(康二朗)さんだったんですよ。

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