2020.12.08

なんであんなことを言ったのか。プロ野球の歴史に残る「口撃」の数々

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • phoho by Sankei Visual

 翌2009年の交流戦では、巨人が楽天戦で4戦全勝。巨人の伊原春樹ヘッドコーチは試合後、報道陣を前に「野村監督様。今年の交流戦は4連勝させていただきありがとうございます。これもひとえに『ノムラの考え』のおかげでございます。1年間お預かりしたその言葉を、そっくりそのままお返しします。バッカじゃなかろうか~、ルンバ!」と"ルンバ返し"を披露。意気揚々と球場を後にした。

 1997年のヤクルトと西武の日本シリーズでも、ヤクルトを率いる野村監督は相手指揮官を"口撃"。投手出身である西武の東尾修監督に対して、「投手出身の監督にありがちな、勘に頼る野球」と言い放ち、結果は4勝1敗でヤクルトが日本一に。

 翌1998年、横浜の監督に就任した投手出身の権藤博は、前年の野村監督の発言を意識してか、就任時に「投手は勝たなきゃ始まらないのだから、打つほうも守るほうも見ているが、捕手は勝手だ。人が投げる球を受けるのだから評論家でいられる。捕手出身の監督には負けたくない」と発言した。

 同年、横浜は快進撃を見せ、38年ぶりのリーグ優勝を果たす(野村監督率いるヤクルトはリーグ4位)。一方のパ・リーグは、東尾監督率いる西武が前年に続いて2連覇を果たし、日本シリーズ史上初めて投手出身の監督同士の対戦が実現した。

 1981年8月26日のヤクルト戦に登板した、阪神・江本孟紀の発言も有名だ。4-2と阪神リードで迎えた8回表、2死二、三塁というピンチで、江本はベンチからの指示(勝負か敬遠か)を待っていたが、その時に中西太監督がベンチに不在......。江本は仕方なく勝負に出たが、適時打を浴びて同点とされた。

 江本は降板後、ロッカールームに引き揚げる際に「ベンチはアホや」などと首脳陣を批判。すると「ベンチがアホやから野球でけへん」と報道され、球団からは謹慎が言い渡された。江本はこれを頑なに拒否し、自らユニホームを脱ぐ決断を下す。ひとつの発言がきっかけで、自身の現役生活にピリオドを打つことになった稀有なケースだ。