2020.12.03

巨人6位・山本一輝は杉内俊哉二世。
メジャー平均を凌駕する驚きの数値

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Sankei Visual

 2年時の大学選手権でもそうだったし、その後に見たリーグ戦でもきれいな"半身"の姿勢を崩さずに踏み込み、最後の最後で体を一気に切り返して、きれいな縦回転の軌道で腕を振る。

「そのせいでしょうか、ボールの回転軸に傾きがなく、バックスピン成分の強いストレートが投げられる。僕らが教えようと必死になっても、これだけは教えられない。幼い頃から自然と培ってきたものですから。まさに"天性"です。回転数も、確実に2400は出ます」

 ストレートの話ばかりになってしまったが、実戦のピッチングで見たチェンジアップも強烈だった。途中まではストレートとまったく同じ軌道で、「きた!」と思って振り始めたらボールはまだ届いていない。打者にとっては厄介なボールだ。

 東郷高校での3年間は1回戦を勝つのがやっとのチームだったそうだが、練習参加で中京大のグラウンドで投げた時から"球質"はキラリと輝いていたという。

「山本のクロスファイアーは、プロではあまりストライクを取ってもらえないかもしれませんが、逆に左打者の内角を突くボール......右打者にとってはアウトコースになるのですが、そのボールが一番強いように見えるんです。そっちを磨いたほうが効果的なのかなと思うこともあります」

藤腹、根尾を子ども扱いしていた巨人・戸郷翔征の高校時代>>

 テイクバックからトップにかけてボールを隠せて、きれいな半身の体で踏み込んできて、打者寄りの位置でリリースして、強烈なバックスピンの効いたボールを投げ込むサウスポー。そんな特徴を持った投手が以前にもいたような......と思って考えていると、思わず「アッ」と声が出てしまった。

 なんとその投手は巨人にいたのだ。今年は二軍投手コーチとして若手の指導にあたり、来年は一軍投手になる杉内俊哉だ。プロは指導者との出会いと相性がすべて。そう言い切る人もいるほど、指導者との出会いは大きい。同じメカニズムを持ったコーチがチーム内にいるというのは、どれだけ心強いことか。

 下位指名ながら一躍リリーフエースに台頭した中川皓太(2015年ドラフト7位)のように、数年後、いつの間にか巨人投手陣にとって不可欠な存在になっているのではないか。山本のボールには、そんな未来予想図を思い浮かべてしまうほどの説得力がある。

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