長谷川勇也のヘッスラに見たホークスと巨人、勝者のメンタリティの違い (2ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

 1回表、巨人1番打者の吉川尚輝のショートゴロをソフトバンクの牧原大成が一塁へ悪送球して無死二塁となった。ソフトバンクに生じた綻びにつけ込みたい巨人だったが、2番の松原聖弥は送りバントを失敗して、せっかく掴みかけた流れを自ら手放してしまった。

 試合が動いたのは3回裏だ。二死二塁から中村晃がライトへ先制2ランを放った。この試合もソフトバンクが先行する形となり、流れをグッと引き寄せたのは誰の目にも明らかだった。

 それでもこの試合は両チームの先発が好投し、緊迫した展開が続いた。ノーヒット投球を続けたムーアはもちろん、サンチェスも巨人担当記者いわく「レギュラーシーズンの時よりもよかった」というピッチングだった。だから、ひとつのプレーで展開が大きく変わってもまったく不思議ではなかった。

 このシリーズの明暗を分けた1つめのポイントが第1戦の勝敗だったとするならば、2つめのポイントは第3戦の6回裏だったのではないだろうか。

 ソフトバンクが2点リードのまま迎えた攻撃のイニング。先頭の中村が四球を選び、続く柳田悠岐がライト前ヒットを放ち無死一、三塁と絶好のチャンスをつくった。ここで4番のグラシアルはショートゴロに倒れるが、三塁走者の中村が挟殺プレーで粘り、一死二、三塁と好機を潰さなかった。

 その後、栗原は申告敬遠、デスパイネが三振で二死満塁となった。打順は7番の牧原。シーズン終盤に調子を上げてきた左打者だが、工藤公康監督は動いた。

「打撃一閃」

 オリジナルの演出がPayPayドームの巨大なビジョンに映し出される。とっておきの代打、長谷川勇也の登場だ。

 長谷川は2013年シーズンに198安打で最多安打、打率.341で首位打者に輝いた屈指の好打者である。その翌年の終盤戦で本塁突入の際に右足首を痛めて以来、成績こそ落ちたものの、ひと振りにかける集中力は健在のまさに"打撃職人"である。

 決着は初球だった。強烈な打球が一、二塁間へ飛ぶと、二塁手の吉川がダイビングキャッチ。一方で長谷川は鬼の形相で一塁めがけて走った。

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