落合博満、工藤公康、山﨑武司...「アラフォー移籍」で大活躍した男たち

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • phoho by Sankei Visual

 ちなみに、中村が中日に在籍していた時の指揮官、落合博満は"アラフォー移籍"で活躍したパイオニアのような存在だった。FA制度が導入された初年度の1993年オフ、中日から巨人に移籍した落合はすでに40歳だったが、1年目は129試合に出場して打率.280、15本塁打、68打点を記録。2年目、3年目は3割以上をマークするなど4番に座り、3番の松井秀喜と共に打線を牽引して2度のリーグ優勝に貢献した。

 晩年に古巣に戻った選手は、球団が"花道を用意する"という意味合いも強いが、今季限りで現役を引退した五十嵐亮太は、もうひと花咲かせてみせた。

 長年ヤクルトでリリーバーとして活躍し、2010年にメジャー挑戦。メッツ、ブルージェイズ、ヤンキースと渡り歩き、2013年にソフトバンクで日本球界に復帰した。2014年には44ホールドを挙げるなど常勝チームで活躍したが、2018年オフに戦力外になると、39歳で古巣のヤクルトに復帰した。

 その復帰1年目、4月はリリーフ登板のみで5勝を挙げる。同年5月には史上7人目となる通算800試合登板を、8月には史上4人目となる日米通算900試合登板を達成した。今シーズンは引退試合の1登板のみとなったが、最後まで代名詞のストレートでファンを沸かせた。

 同じく今季限りで引退する40歳の細川亨も、コーチの打診を受けながらも現役にこだわり、36歳で楽天に、38歳でロッテに移籍。選手としてだけでなく、若手の手本としてもチームを支え続けた。

 昨今のプロ野球では、40歳前後でも第一線で活躍する選手が多い。ましてや、内川のような実績と技術を持ちあわせた選手は引く手あまただろう。若手の躍動にもファンはワクワクするものだが、長いペナントレースを戦っていくためには経験豊富なベテランの存在が欠かせない。複数の球団による内川の争奪戦が行なわれているという報道が多くなっているが、その行く末に注目したい。

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