破壊力抜群1985年のタイガース打線。八重樫幸雄がとった掛布・岡田対策は?

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

【3人で「1点、2点はしょうがない」】

――バース、掛布さんは左バッターで、岡田さんが右バッターでした。打順としては「左、左、右」と続きます。この並びについて、八重樫さんはどう考えていましたか?

八重樫 当時の吉田(義男)監督にどういう意図があったかはわからないけど、個人的には「オーソドックスなタイプのクリーンナップだな」と思っていました。バースも掛布も左ピッチャーを苦にしないし、広角に打ち分けるのが得意なバッターでした。3人の中では岡田だけは穴もあったけど、パンチ力があるバッターだったね。

――広角に打ち分けられるバース、掛布さんでチャンスを広げてランナーをためてから岡田さんの長打で得点する。そんなイメージでしょうか?

八重樫 そうだね。バース、掛布はそれぞれ広角に長打を打てるので、2人で1点。仮に二、三塁になっても、岡田が最低でも犠牲フライを打つから1点。あるいは長打が出れば一気に大量得点。そんな感じだったかな?

――前回も触れましたが、1985年はバースが54本塁打でホームラン王、掛布さんが40本塁打、岡田さんが35本塁打。一番の真弓明信さんも34本塁打ですから、相手チームとしては阪神打線は脅威でしたね。

八重樫 「1点、2点はしょうがない。大量失点だけは気をつけよう」といった意識で戦っていたよ。特に1985年のバースについては、ほとんどまともに勝負していないから(笑)。強いて言えば、岡田のところで少しだけホッとできる程度だけど、もちろん岡田も十分に気をつけないといけないからね。

――あの3人に打たれた思い出、忘れられない一発はありますか?

八重樫 あまりにも打たれすぎたから覚えていないよ(笑)。バースとは勝負を避けていたからあまり打たれていない気がするけど、掛布には甲子園でレフトポール際に、キレそうでキレない逆転ホームランを打たれたこともあったな。

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