コロナ下のプロ野球契約更改を経営学視点で展望。大幅減俸は増える? (3ページ目)

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • photo by Kyodo News

【プロ野球という夢と世間の目】

 プロ野球が日本において人気スポーツであるがゆえに、難しい部分もあるようだ。

「プロ野球界は世間の目をとても気にします。コロナ禍で多くの人が明日の生活に不安を抱える中で、プロ野球選手だけ例年どおりの基準で年俸をもらったならば、『なぜ野球選手だけ?』と快く思わない人は少なからずいるでしょう。世の中の状況、雰囲気がある程度反映される点で、公務員のボーナス基準と似たところがあります。しかし一方で、減額に歯止めをかける要素もあります。プロ野球には夢があるというイメージです。実力があれば評価される、たくさんお金がもらえる世界だという夢は壊せませんから」

【ベテラン選手にとっては厳冬か】

 ただし、コロナ禍という特殊なシーズンで、例年より傾向が強まると予想されるのが、ベテラン選手の大幅な年俸削減だという。

「おそらく、減額制限を超える年俸を多くのベテラン選手に提示することになるでしょう」

 年俸の減額に関しては野球協約で制限が設けられている。選手のその年の報酬が1億円を超える場合は40%、1億円以下の場合は25%までしか減額できないというものだが、選手の同意があればこの限りではない。選手は制限を超えた大幅減額を提示された場合、同意して契約更改をするか、または自由契約となって他球団と交渉し移籍する道を探す。

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