コロナ下のプロ野球契約更改を経営学視点で展望。大幅減俸は増える?

  • 小林 悟●取材・文 text by Kobayashi Satoru
  • photo by Kyodo News

今年のプロ野球はポストシーズン突入前から、ストーブリーグの話題があれこれと聞こえてくる。多くのファンが関心を寄せるのがコロナ下での契約更改だろう。約3カ月遅れで開幕して無観客で始まり、試合数は143試合から120試合に縮小された今シーズン。果たして査定はどうなるのか。球団、選手、ファンの誰もが納得できる落としどころとは。元プロ野球選手で、球団フロントの経験もあるスポーツ経営学者の小林至氏に展望を聞いた。

毎年、ファンの注目が集まる契約更改だが、今年は一層関心を集めそうだ毎年、ファンの注目が集まる契約更改だが、今年は一層関心を集めそうだ
【極端な減俸はなし? 日本球界特有の背景】

 今シーズンは6月19日に開幕してから無観客試合が続いた。7月10日に入場が解禁されてからも防疫の対策として観客数を制限していたため、観戦チケットの売り上げが減少。グッズの販売も大きく落ち込んだ。プロ野球の売り上げの構成はおおよそ30〜40%が入場料、10〜20%が物販であることを考えれば、各球団の懐事情は厳しいはずだ。小林至氏はこう説明する。

「今シーズンはプロ野球の全球団で赤字は確実。昨年に比べて売り上げは6〜7割減る見込みです。イギリスのコンサルティング会社『プライスウォーターハウスクーパース』(PwC)の調査では、世界の学者・経営者の約9割は、スポーツ産業がコロナ以前の水準に回復するのは2022年以降であると回答しています。回復に時間がかかるのは間違いありません」

 海外では、すでにプロスポーツ選手への大幅な年俸減額がなされているが、果たして日本のプロ野球はどうなるのか。

「球団の売り上げが減りましたが、選手の年俸を極端に減らすということはないでしょう。その他の国内外のプロスポーツチームとは経営のあり方が違って、日本のプロ野球は親会社の支援が球団保有の前提となっています。各球団が赤字を出しても、親会社が広告宣伝費を増額したり、資本を注入したりすることで支えるわけです」

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