2020.11.10

ヤクルト奥川恭伸が一軍デビュー。
「甲子園スター」たちの初登板は?

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Sankei Visual

 3月29日。チームの高卒ルーキーとして54年ぶりに開幕戦でスタメンに名を連ねた大谷は、5回の第2打席で相手エースの岸孝之(当時西武)からプロ初安打となる二塁打。6回にはライト前安打でプロ初打点も記録した。開幕戦での2安打は、高卒ルーキーでは1960年の近鉄・矢ノ浦国満以来53年ぶり2人目。「複数安打+打点」は球団史上初の快挙だった。

 そして「松坂超え」は、投手としてのデビュー戦となった5月23日のヤクルト戦で果たされた。

 初回から観衆の度肝を抜いた。3番の岩村明憲に、高卒ルーキーのデビュー戦最速となる156キロをマーク。3回には、主砲・バレンティンに対して157キロを叩き出した。5回6安打2失点とゲームをつくりながら勝ち星はつかなかったが、投じた86球のうちストレートは64球。うち43球が150キロ超えと、真っ向勝負でファンを唸らせた。

 ルーキーイヤーから二刀流として出場した大谷は、打者として189打数45安打、3本塁打、20打点、打率2割3分8厘。投手としては3勝、防御率4.23と、翌年以降の「二刀流伝説」への大きな足がかりをつかんだ。

 松坂、ダルビッシュ、田中、大谷。彼らは高校時代に150キロ以上のストレートを誇っており、試合となれば球速と奪三振数が最大の関心ごとだった。そんなスターたちを凌駕する偉業を甲子園で打ち立てたのが、松井裕樹である。

 2012の夏、桐光学園の2年生左腕は初戦の今治西戦で22奪三振と快刀乱麻の投球で鮮烈の甲子園デビューを飾った。9回でのこの数は大会記録であり、「不滅」と評されるほど今後の達成は困難と言われている。

 ドラフトで5球団から1位指名され、楽天に入団した逸材のプロ初登板は、2014年4月2日のオリックス戦。先発として6回5安打3失点とクオリティスタートを演じ、6奪三振と持ち味も発揮したが敗戦投手となった。

 松井のプロ初勝利は、中継ぎだった。ちょうど3カ月後の7月2日のオリックス戦。5回のピンチの場面で登板し、後続を断ち切ると6回、7回も無失点に抑え、プロ8戦目で念願の1勝目を手にした。