2020.10.31

なぜ巨人は「3割打者ゼロ」で優勝できたのか。
元コーチが原野球の真髄を語る

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Kyodo News

 3割バッターがいなくても優勝できた2014年も、橋本到や大田泰示など、二軍で結果を残して一軍に昇格してきた若手を、すぐにスタメンで出場させチャンスを与えました。ですが、少しでも成績が落ちると「また鍛え直してこい」と言わんばかりに二軍に降格させ、また新たな若手を一軍で試す。今年もその姿勢は顕著に表れていました。

 捕手では3年目の岸田(行倫)。内野手は5年目で外野も兼任する増田(大輝)、3年目の若林(晃弘)、田中(俊太)、北村(拓己)。外野では5年目の重信(慎之介)と、一軍でチャンスを与えられた若手は少なくありません。そんな目まぐるしい入れ替えのなか、現時点で一歩リードしているのが、吉川、松原、大城なわけです。

◆巨人愛を貫いた男たちの波乱万丈>>

 原監督の厳しさは、若手だけに限ったことではありません。陽岱鋼のように実績十分の選手であっても、結果を残せないのなら二軍に落とす。中島(裕之)のように、奮起すればベテランであっても積極的にスタメン起用する。このような「実力主義」を貫くからこそ、ベンチは常に緊張感があるわけです。

 その一方で「不動のレギュラー」と決めた選手は、とことん信じ抜くのも原監督です。

 2014年でいえば、監督が「チームの顔」と公言し4番に座らせた阿部(慎之助)、長野(久義)がそうでした。今年は当時から主力を担う坂本に丸、そして、4番で固定している岡本の3人がそれに該当します。

 原監督自身、現役時代にジャイアンツで不動のレギュラー、そして4番を務めた経験から、その立場がどれだけ重く、責任があるか骨身に染みている。だからこそ、彼らには「伝統の巨人軍のレギュラーとして務めを果たしてほしい」という願いも込め、どんなに不調でも起用し続けているのだと感じます。

 ジャイアンツは優勝を宿命づけられたチーム。そのなかで、球団歴代1位の勝利数を積み上げた原監督がタクトを振るからこそ「強いジャイアンツ」として戦えるのです。

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