ロッテ1位・鈴木昭汰、プロ断念から4年。挫折を経て身につけたスキル (2ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Sankei Visual

 悩みに悩んだ結果、鈴木は大学でもう一度自分を磨き、4年後にプロに行くと心に決めた。しかし大学進学早々、壁にぶち当たってしまう。高校時代はなんとか抑えていた140キロそこそこのストレートが、大学生にはまったく通用しない。大学2年が終わった時点でリーグ戦での登板は、1年秋に投げた3試合だけ。

「同級生が活躍しているなか、自分はスタンドで応援していることが多く『なにやっているんだろう......』と悔しさがありました」

 この悔しさをバネに、まずは投球フォームのバランスを見つめなおし、いかに指先に力を伝えるかを考えた。

「フォームのバランスと力強さ。そのどちらかが欠けてしまってもダメだと思ったので、両方とも鍛えるようにしました。走ったり、ウエイトトレーニングをしたり、しっかり計画を立てながら投げ込みもやりました」

 そのなかで鈴木がテーマにしたのは、悔しさを噛みしめながら、1日1日を無駄にしないこと。

「楽(らく)して投げられるような場所じゃないので......。厳しくてもいかに耐えて、いいパフォーマンスを出せるかを考えました。本番でもそこがカギになってくると思いましたし、練習で楽をしていたら試合でもそれが出てしまうと思ったので、そこは常に意識していました」

 すると、コツコツと積み重ねてきたものが徐々に実を結んでいった。

 3年春は防御率こそ6.23だったが、試合数(6試合)とイニング数(21回2/3)はいずれも大学に入って最多となった。秋は7試合(16回)に登板して防御率0.56と進化を遂げた。

「3年秋はおもに中継ぎだったんですけど、腕の振り方やスピードの出し方が自分のなかでしっくりきた部分がありました。そこから球速が徐々に上がり始めたんです」

 リリーフ特有の短いイニングを全力でいくスタイルが鈴木にマッチした。

「中継ぎで短いイニングを投げた時のように、先発でもそれを出せるようにすればいいと考えました。体力アップと平均球速をアップさせる練習に励んだ結果、その成果が出て、今のピッチングにつながっていると思います」

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