西武は「これでもか!」と投手を指名すべき。米国帰りのあの選手も候補だ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

チーム事情から見るドラフト戦略2020〜西武編

 昨年のパ・リーグ覇者・埼玉西武ライオンズが、今シーズンは大苦戦を強いられている。昨年の西武は12球団ワーストのチーム防御率をものともせず、自慢の"山賊打線"がチーム打率.265、チーム本塁打174本と豪快に打ちまくり、勝利をもぎとった。

 しかし「打線は水もの」とはよく言ったもので、今年の西武はその自慢の"打"で苦しんでいる。チーム防御率4.33(10月18日現在)は、昨年のシーズン終了時とほぼ同じで、今年も現時点でリーグワースト。たしかに投手陣はひどいが、それ以上に心配なのが打線に活気がないことだ。

 不動のリードオフマンであり、チームの精神的支柱だった秋山翔吾(現・レッズ)がいなくなったのが、やはり痛い。"チームリーダー"と"1番打者"......そこで苦労しているのが試合を見ていて感じる部分だ。

 たとえば攻撃を終えて、「さあ、守りだ!」と最初にグラウンドに出ていく人の出が遅い。秋山がいた時は、その時に勢いがあった。

 チームリーダーというのは、何年もチームに在籍して生まれるものだし、いきなりドラフトで獲得できるものではない。しかし1番打者なら、面白い選手がいる。

 それが近畿大の佐藤輝明(右投左打)だ。高校、大学とクリーンアップしか打ったことがない大型スラッガーだが、足もあるこの選手を"1番"で使ってみたら、相手バッテリーに取ってはどれだけ脅威か。

巨人はドラフト1位で近畿大・佐藤を指名するのか>>

 芯を少々外してもタイミングさえ合えばスタンドインできるスイングスピードとパワー。コントロールがまだ定まらない試合開始直後にこんなバッターと対戦するのは、どんなエースだって避けたいはずだ。

 とはいっても、最重要課題は「投手陣の立て直し」である。1番打者の育成も大事だが、まずは投手だ。チームの構成的に左投手が枯渇しており、早稲田大の早川隆久(左投左打)はうってつけの存在である。

 その早川だが、間違いなく競合になるだろう。ただ、もし外したとしても、今年は投手の当たり年で "即戦力級"が残っている可能性が高い。

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