DeNAは社会人No.1右腕の一本釣りか。不振、故障者続出の投手陣に必要 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 一時は"左腕王国"と称された投手陣だが、現在、稼働しているのは濱口、石田健大と外国人のエドウィン・エスコバーぐらい。

 できれば1位は左腕でいきたいところだが、競合のリスクがある早川隆久(早稲田大)より、右腕でもすぐに期待できる投手を確実に獲りたい。となると、栗林良吏(トヨタ自動車/右投右打)を推したい。

 とにかく気持ちの強い投手だ。疲労があっても、調子の波があっても、1シーズンを投げ続けられる。そういう一軍投手の仕事ができる選手である。

 150キロ近いストレートとパワーカーブ、フォークで、熾烈なトーナメント戦を繰り広げる東海地区の社会人で、コンスタントに実力を発揮し続けてきた実績が頼もしい。

 栗林に続く候補としたら、右だと森博人(日体大/右投右打)、高田孝一(法政大/右投右打)、左だと鈴木昭汰(法政大/左投左打)、今西拓弥(早稲田大/左投左打)といった、いずれも即戦力でありながら伸びしろも兼ね備えた大学生の実力者たちだ。

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 森は大学の4年間で別人のシルエットになって、ストレートは10キロ近くスピードアップし、破壊力も増した。タテのスライダーは豊川高校(愛知)時代から定評があり、フォークを加えたタテ変化のピッチングスタイルはリリーフの適性を感じさせる。

 高田は150キロを超える速球とスライダー、フォークを勝負球に先発として実績をつくってきた。大学での4年間でちょっと体をつくり過ぎたかなと思うが、ひと絞りしたらどう変わるのか楽しみでならない。

 高田とともに法政大の投手陣を牽引し、エース格として投げてきたのが鈴木だ。常総学院(茨城)時代は「いいボールを投げるな」と感心したが、今は「すごいボールを投げるな」と驚かされる。

 右打者のインコースに食い込んでくる150キロ近いスピードのクロスファイアーは、わかっていてもせいぜいファウルにしかならない一級品である。そのあとのチェンジアップがまた効果抜群。立ち上がりと走者を出した直後に力みすぎるのは課題だが、打者を打ち取る術を知りつくした左腕だ。

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