小久保裕紀、サブロー、谷佳知...。「出戻り」選手たちの悲喜こもごも

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • phoho by Kyodo News

 9月7日に発表された、巨人・澤村拓一とロッテ・香月一也の交換トレードは大きな話題を呼んだ。澤村は翌8日の入団会見後、チームに即合流。同日に行なわれた日本ハム戦の1点リードの場面でZOZOマリンスタジアムのマウンドに上がり、圧巻の三者連続三振でロッテでのデビュー戦を飾った。

2006年11月、巨人からホークスへの「出戻り」が決まり、当時の王貞治監督(左)に帽子をかぶせてもらう小久保裕紀(右)2006年11月、巨人からホークスへの「出戻り」が決まり、当時の王貞治監督(左)に帽子をかぶせてもらう小久保裕紀(右) 澤村はリリーバーの層を厚くしたいというロッテの思惑に見事にハマり、リーグ優勝を争うチームにおいて欠かせないピースになっている。実力がありながらチーム事情で出場機会がない選手や、環境に順応できずに芽が出ない選手が移籍先で活躍するケースは多いが、澤村はトレードの成功事例と言えるだろう。

 ただ、澤村は2018年にFA権を取得済み。骨を埋める覚悟で他のチームへ移籍した選手が、チーム状況の変化などによって「また古巣で......」となる"出戻り"も選択肢にあるため、今後の動向が注目されている。

 過去に、出戻りで成功した代表的な例といえば小久保裕紀だろう。所属していたダイエー(現ソフトバンク)がリーグ優勝と日本一を達成した2003年のオフ、衝撃の「無償トレード」で巨人に移籍。2004年には巨人の右打者として史上初のシーズン40本塁打以上を達成し、2005年には交流戦初代本塁打王に輝くなど巨人の主軸として活躍した。

 2006年には、巨人への移籍選手として初の主将に指名されるなど期待されたが、右手親指のケガで6月から長期離脱し、同年オフにFA権を行使してソフトバンクに復帰した。

 古巣への復帰1年目にはチームトップの25本塁打をマーク。2009年には主将に任命されて4番に定着し、チームトップの81打点をマークするなどチームを牽引した。また、2011年には日本シリーズでMVPを獲得するなど、8年ぶりの日本一に貢献。史上41人目の2000本安打を達成した2012年限りで現役引退を発表した。

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