坂本勇人、山﨑康晃、村上宗隆...外れ1位から大当たりになった名選手たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

 この年は、ほかにも履正社の安田尚憲(現・ロッテ)と高校生スラッガーの当たり年。「粒ぞろいだから外れ1位にもいい選手が残っているだろう」と各球団は考えたのだろう。スター性と高い能力を併せ持つ清宮に7球団の指名が集中した要因は、ここにある。

 村上は2年目に早くも台頭し、36本塁打をマーク。今季は好打率を維持して、大打者へのステップを着実に踏んでいる。なお、村上は幼少期から3兄弟(宗隆は次男)揃ってヤクルトを愛飲していたという縁もあった。

 DeNAは2014年に山﨑康晃、2016年に濱口遥大と、外れ1位で非常に意義深い投手補強をしている。

 2014年はドラフトの目玉だった早稲田大の有原航平(現・日本ハム)にチャレンジするも、4球団競合の末に失敗。再入札で亜細亜大の山﨑を指名する。2016年は明治大の柳裕也(現・中日)、桜美林大の佐々木と相次いでクジを外して、神奈川大の濱口を獲得した。

 山﨑は大学時代からリリーフとしては快刀乱麻の投球を見せる一方、先発すると球速が落ち、物足りなさを感じさせた。プロでも首脳陣がその適性を見抜き、1年目から守護神として起用したことが吉と出た。

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 濱口は球威のある速球と落差のあるチェンジアップを武器に大学球界で活躍していたものの、不安定な制球力が不安視されていた。マウンドに立つと温厚な人柄から豹変して激情型の投手になるメンタリティーが、マイナスに見られることもあったようだ。

 近年、ドラフト1位で活躍した投手がことごとく成功したことが、低迷を極めたベイスターズ浮上の一因になった。外れ1位でもランクが落ちないどころか、大活躍した山﨑と濱口の貢献は大きい。

 パ・リーグで目立つのは、2013年ドラフト会議で3度の抽選に失敗した日本ハムが「外れ外れ外れ1位」で指名した渡邉諒(日本ハム)である。

 同年の目玉だった桐光学園の松井裕樹(現・楽天)を皮切りに、日本生命の柿田裕太(元DeNA)、横浜商科大の岩貞祐太(現・阪神)とすべてクジを外してしまう。3連続で重複すること自体が珍しく、ほかには2010年のオリックスから外れ外れ外れ1位指名を受けた後藤駿太の例がある。

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