坂本勇人、山﨑康晃、村上宗隆...外れ1位から大当たりになった名選手たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Sankei Visual

2020ドラフト1位指名候補はこの12人だ!>>

 10月26に開催されるプロ野球ドラフト会議。今年は佐藤輝明(近畿大)や早川隆久(早稲田大)のような重複1位候補の逸材がいる。

 現段階では各球団とも検討段階であり、明確に誰を1位指名するか公言しているチームはない。編成陣としては、「できるだけ競合をせず、いい選手を獲りたい」というのが本音だろう。もし1位指名が重複してクジ引きで外してしまえば、ランクの落ちる「外れ1位」の選手を指名せざるを得ないからだ。

 しかし、歴史を紐解けば、今にして思えばよく外れ1位で獲れたな......というスター選手もいる。ここでは、「実は大当たりだった外れ1位」を振り返ってみよう。

 首位を独走する巨人の二遊間は、「外れ1位コンビ」である。

巨人から指名を受けて、チームメイトに胴上げされる坂本勇人巨人から指名を受けて、チームメイトに胴上げされる坂本勇人 坂本勇人のドラフト時のエピソードはあまりに有名だ。2006年高校生ドラフトに臨むにあたって、当時の東北地区担当の大森剛スカウト(現・統括スカウト)が自身の進退をかけてまで、光星学院(現・八戸学院光星)の坂本を猛プッシュする。結果的に1位は愛工大名電の堂上直倫でいくことが決まったものの、堂上のクジを外した場合は坂本を1位指名することになった。

 結果的に堂上は地元・中日が当たりクジを引き当て、交渉権を獲得。外れ1位で巨人に入団した坂本は、その後チームの看板に君臨することになる。

 大森スカウトは選手を見る際に「3振1球」を重視していると語っていたことがある。打者なら3スイング、投手なら1球見ただけでピンとくるものがなければいけないということだ。坂本の場合は、2年夏に青森山田・柳田将利(元ロッテ)からバックスクリーンに放り込んだ一打を見て、「いけると確信した」という。坂本の能力に懐疑的だったスカウトにも、大森スカウトは「大丈夫ですから」と説得した。

 そして現在、坂本と二遊間を組む吉川尚輝に至っては、2016年ドラフトの「外れ外れ1位」の選手である。

 巨人はこの年のドラフトの目玉だった創価大の田中正義に1位入札。5球団が競合した末に、当たりクジを引いたのはソフトバンクだった。

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