最後の隠し球や球場騒然のナイス判断も。プロ野球「したたかプレー」の数々 (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • phoho by Sankei Visual

 プロ野球で隠し球が最後に見られたのは、2009年6月30日のソフトバンクvsオリックス戦(ヤフードーム)でのこと。2回裏、無死一塁の場面でソフトバンクの本多雄一が送りバントをした際に、オリックスのセカンド・山崎浩司が一塁のベースカバーに入って捕球。その後、素知らぬ顔で二塁方向へ歩いていき、隠し球で二塁走者の田上秀則をタッチアウトにした。

 ちなみに、山崎は広島時代の2007年にも対巨人戦で阿部慎之助をアウトにしており、両リーグで隠し球を成功させた男になった。しかし相手を「だます」印象が強いからか、この2009年を最後に隠し球は封印され、トリックプレーも技術やとっさの判断による好プレーへと毛色を変えていった。

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 元日本ハムの新庄剛志や阪神の福留孝介など、名外野手が「打球を捕れるフリ」をして走者の進塁を防ぐプレーはよく見られるようになったが、逆に「送球が来ないと思わせるプレー」もあった。

 2017年5月25日の西武vs日本ハム戦(大宮公園)、5回裏2死一、二塁の場面。西武の栗山巧がライトに適時打を放つと、一塁ランナーのメヒアが三塁に向かったため、打球を捕った岡大海が三塁へ送球。しかし三塁手のレアードは棒立ちで送球が来ないと思わせ、走るスピードを緩めたメヒアを三塁でタッチアウトにした。

 また、「わざとワンバウンドさせる捕球」もよく見かけることがあるだろう。中でも、2006年6月14日の楽天戦での、阪神のキャッチャー・矢野燿大(現・阪神監督)の見せたプレーを覚えているファンは多いはずだ。

 6回裏無死一、二塁で楽天の沖原佳典の送りバントが小フライになると、矢野がわざとワンバウンドさせてから捕球して三塁を封殺。さらに二塁、一塁と転送されて鮮やかなトリプルプレーが完成した。

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