年俸87%ダウンからの大逆襲。巨人・中島宏之「38歳の復活劇」を語る

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Kyodo News

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 プロ20年目を迎えた今シーズン、読売ジャイアンツの中島宏之が再び輝きを取り戻している。

 全試合出場とはいかないが、レギュラー格としてここまで(9月10日現在)58試合に出場して打率.280、5本塁打、20打点。とくに8月は月間で.362の打率をマークし、同14日の中日戦(東京ドーム)ではプロ通算200号本塁打も達成した。

今年8月にプロ通算200本塁打を放った巨人・中島宏之今年8月にプロ通算200本塁打を放った巨人・中島宏之 今年7月、中島は38歳になった。球界では間違いなく大ベテランの部類に入る。しかし、今シーズンの中島はとても若々しい。体がスリムになり、それに伴って動きも俊敏だ。

 なにより、自身の体を思いどおりに操れているように映る。もともとショートを守ってゴールデングラブ賞を3度獲得したように、手先が器用な選手だ。ハンドリングがいいからこそ、バッティングの際にボールをうまくつかまえることができるし、一塁の守備でも華麗なグラブさばきを披露できる。

「オフシーズンから体をつくり直したというか、いろんな角度から刺激を入れるなどしてアプローチをしました。オープン戦や練習試合もいい感じでやれて、開幕は遅れましたがその間も継続して体を動かしていたんで、元気ですよ(笑)」

 屈託ない笑顔はトレードマークだ。「中島」より「ナカジ」というニックネームの方が似合う。原辰徳監督もその愛称で呼ぶ。

 ナカジは今シーズンを迎えるにあたり、体に刺激を入れてきたと言った。先述したように今年は体のラインが明らかに変わった。これまでは熱心にウエイトトレーニングに励んできたが、そのあたりの変化を感じる。

「体は大きくしなくていいかなと考えました。やっぱり動かなアカンから。それなりにウエイトもやりましたけど、野球の動きをメインに考えました。それにオフの間はこっそり走っていました(笑)。もちろん、若い頃と同じような速さでは走れないけど。走る、バットを振る、投げる、ウエイト......毎日、その日その日で自分の決めたものを全力でやると決めています。そうやって体に覚え込ませるというのをオフからやってきました」

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