大洋&横浜でベストナインを選出。八重樫幸雄は「主砲」の配置に悩んだ (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

◆「ミスターロッテ」が選外!ロッテ・ベストナイン

――後に広島に移籍しますが、個人的には「ショート・石井琢朗」も捨てがたい気がしますが......。

八重樫 確かにそうだね。トータル的には琢朗なのかもしれないけど、あの堅実な守備のインパクトが強くて大輔ということにします。で、その後に浮かんだのが松原誠さんかな。名球会入りもしているので「ファースト・松原誠」が決まりましたね。ファーストには駒田徳広もいたけど、やっぱり松原さんかな。広角に打てるバッターとして松原さんは相手チームからしたらイヤでした。でも、最後まで悩んだのがひとりいるんですよ。

――それは誰ですか?

八重樫 田代(富雄)です。大洋時代の主砲として、やっぱり田代は球団史に残る名選手だと思うんですよ。今も指導者として活躍しているし、大洋・横浜には欠かせない存在だからね。でも、彼のサードの守備はちょっと......(笑)。ということで、サードは現役の宮崎(敏郎)にしました。首位打者を獲得したバッティングはもちろんだけど、宮崎の場合は守備も安定しているので。

――「サード・村田修一」という選択肢はありませんでしたか?

八重樫 村田もサードの守備はうまかったですよ。でも、この連載でこれまで何度も言っているように他球団に移籍した選手の場合は、そこまで自信を持って推薦できないんです。村田も巨人のイメージが強いでしょ? それに、あくまで外から見ていた印象だけど、彼はチーム内でちょっと浮いているように見えた。そういう意味では「歴代ベストナイン」には挙げられないかな。

――なるほど。では残りはセカンドですが......。

八重樫 セカンドは(高木)豊かな。走攻守のすべてがそろっていましたからね。(ロバート・)ローズもいい選手だったけど、豊は長い期間を通じてレギュラーとして活躍しました。バッターとしては、意外と粘り強いタイプじゃないんだけど、甘いボールは確実にとらえる嫌らしさがありましたね。

 ただ、気が強い性格で、唯一僕が試合中に口論になりそうだったのが豊でした。当時の古葉(竹識)監督に「まぁ、我慢してやってくれ」ってたしなめられたから、大事には至らなかったんだけど(笑)。

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