広島ベストナインを八重樫幸雄が選出。四番はミスター赤ヘルではない!?

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Kyodo News

「オープン球話」連載第30回 

◆「初代監督」の噂の真相も語った楽天ベストナイン

【達川光男の「ささやき戦術」には手を焼いた】


――八重樫さんに選んでいたただく「球団別歴代ベストナイン」連載。今回は広島東洋カープ編です。古葉竹識監督時代の赤ヘル軍団から、カープ女子ブームに沸く近年の緒方孝市、佐々岡真司監督率いる現在まで、歴代の名選手を選んでいただきます。まずはピッチャーからお願いします!

八重樫 投手部門に関しては、以前発表した「全球団歴代ベストナイン」でも名前が浮かんだ北別府学を挙げたい。他には大野豊、黒田博樹と続くイメージなんだけど、僕が現役時代に対戦した印象が強くて、北別府を歴代ベストにしたいんですよ。80年代、古葉竹識監督時代のエースとして、強かったチームへの貢献度も大きいしね。

2017年シーズンから広島の四番を務める鈴木誠也2017年シーズンから広島の四番を務める鈴木誠也――黒田投手もアメリカから帰国後、優勝に貢献しましたが、北別府さんは長きにわたってエースとして活躍を続けた印象がありますね。

八重樫 そうなんですよ。よく「コントロールがいい」って言うけど、阪神時代の江夏さん、広島の北別府にこそ、この表現が当てはまると思います。その日の審判のストライクゾーンを見極めたうえで、ギリギリのところに投げたり、あえてボールにしたり、自由自在にコントロールしていましたから。こんなピッチャーはいません。

――わかりました。では、キャッチャーは?

八重樫 達川光男ですね。これもそんなに迷わなかったな。「江夏の21球」でおなじみの水沼四郎さんもいますけど、印象度で言えば達川のほうがインパクトがある。肩はそんなに強くないんだけど、捕ってからが速い。ピッチャーが普通のクイックで投げてくれたら、盗塁は刺せましたよ。それに何よりも、彼はしつこいキャッチャーなんです。バッターに対する話しかけもそうだし、野村(克也)さんに次ぐ「ささやき戦法」の使い手でしたよね。

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