小林雅英と藤田宗一のリリーフ論。守護神と鉄腕が語る育成のポイント (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei
  • photo by Sportiva

藤田 ロッテはほかにも足りない部分があるような気がするけど(笑)。

小林 なかでも二木(康太)は、もっと頑張ってほしい投手です。今シーズンはローテーションの柱として期待されたなかで、2試合打たれてファーム落ち。期待が大きい分「何をやってるんだ」と言いたい。持っているものは本当にすごいので、あとは自覚を持つことだと思います。これからは先発陣の踏ん張りが重要になってくるので、なんとか這い上がってきてほしい。

藤田 自分は成田(翔)に期待している。今のチームである程度計算できる左投手は松永(昂大)ぐらい。これではシーズンを戦ううえでかなり厳しい。今シーズン、成田はスリークォーター気味にフォームを変更し、化けそうな雰囲気がある。もともと持っている素質はいい。成田あたりが結果を残せるようになると、投手陣が活性化されて、上位と戦えるチームになると思う。

小林 本当に上位を狙っていくには、チームの雰囲気が変わらないといけないと思う。2005年の時は、若手は「やってやるぞ」とガツガツしていたし、主軸となるべき選手も自覚を持ってチームをけん引していた。いい意味で、チームに緊張があった。でも、まとまる時はグッとまとまるみたいな。時代が変わり、環境も違うので一概には言えないけど。

藤田 本当にそう思う。ロッテに限らずだけど、どこも仲良しクラブのような雰囲気があって、勝負に徹しきれていない。仲がいいのは大事なことだけど、プロである以上、言い方は悪いけど相手を蹴落としてでも......というような競争がないと、チームは強くならない。競争させながら若手を育てていかないと。

小林 ソフトバンク、楽天、西武と強い球団はあるけど、そういう流れができてくれば、素材的に面白い選手はいっぱいいるからチームは化けるかもしれない。

藤田 強いロッテを復活させてほしいね。

プロフィール
藤田宗一(ふじた・そういち)
1972年、京都府生まれ。島原中央高から西濃運輸に進み、1997年のドラフトでロッテから3位指名を受け入団。1年目から56試合に登板するなど、中継ぎのスペシャリストとして活躍。2006年には第1回WBCの日本代表に選出され、世界一を経験。その後、巨人、ソフトバンクでもプレーし、2012年にはBCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで選手兼コーチとして入団。同年限りで現役を引退。引退後は焼肉屋オーナーになるが、2018年より解説者に。現在はケニアの野球発展のために現地で指導も行っている。 https://yell.en-jine.com

小林雅英(こばやし・まさひで)
1974年、山梨県生まれ。都留高から日本体育大、東京ガスを経て、1998年のドラフトでロッテから1位指名を受け入団。1年目は先発としても起用され、46試合の登板で5勝をマーク。3年目の2001年からクローザーとなり、2007年まで毎年20セーブ以上を挙げるなど活躍。「幕張の防波堤」の異名をとった。2008年からMLBのクリーブランド・インディアンスに移籍。おもに中継ぎとして57試合に登板。翌年も残留となったが、シーズン途中に契約解除。同年オフに巨人と契約するも1年で戦力外となり、オリックスへ移籍。ここでも結果を残せず、2011年限りで現役を引退。引退後はオリックス、ロッテでコーチを務め、現在はプロ野球評論家として活躍。

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