無傷の6連勝。楽天・涌井秀章「V字回復」の理由を斉藤和巳が解説 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

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 それに涌井は絶対にゲームをあきらめない。彼は若い時から自分に課せられた仕事はクリアしようという気概がありました。あまり表情に出さず淡々としていますが、そこが魅力でもあるし、ピッチャーとして大事なものを備えています。

 いま思えば、楽天が涌井を金銭トレードで獲得できたのは、本当ファインプレーでしたよね。則本と岸という二枚看板が売りだったものの、則本はケガからの復帰ですし、岸はシーズンを通して活躍するのは難しい。そういったこともあり涌井の加入は、楽天にとって大きかった。もし涌井の勝ち星がなかったとしたら、現在の順位もかなり違っていたはずです。

 ただ、これからが本当の勝負。プロはいかに年間を通して活躍できるかが問われます。涌井もあと10数試合投げるでしょうから、シーズンが佳境になった時、これまでとは違うプレッシャーのなかで、いかに自分の投球することができるのか。経験も豊富ですし、新天地ということもありモチベーションも高いはず。自分のことを深く理解している投手ですから、きっとチームの力になってくれると思いますよ。

斉藤和巳プロフィール
1977年、京都府生まれ。 1996年、南京都高校からドラフト1位で福岡ダイエー(現・ソフトバンク)ホークスに入団。2000年にプロ初勝利を挙げ、この年5勝をマーク。 2003年は20勝3敗という好成績で最多勝、最優秀防御率、最高勝率、ベストナイン、沢村賞などタイトルを総なめにし、チームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献。2006年にも18勝5敗の成績を挙げ、2度目の沢村賞を獲得。その後はリハビリ担当コーチとして、3年間現役復帰を目指しトレーニングを続けたが、2013年に現役を引退した。

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