定岡三兄弟の長男・智秋の今。
「ノムラの教え」を胸に高知に復帰

  • 広尾晃●文 text by Hiroo Koh
  • photo by Hiroo Koh

「7年前に比べて、ピッチャーはよくなっています。僕が監督だった頃よりもいい。でも、野手はちょっと小粒な印象です。昔は、足がめちゃくちゃ速いとか、とにかく肩が強いとか、個性的な選手が多かったですが、いまは平均化されてそこそこという印象です。

 NPBには僕が監督だった2010年に安田圭佑(外野手)、2011年には飯田一弥(捕手)がいずれもソフトバンクに育成選手として入団しましたが、それ以降は誰も行っていません。同じリーグの徳島インディゴソックスは、最近優勝することが多く、ドラフトで指名される選手も増えています。やはり、チームが強くないといい選手は来ないし、NPBに送り出すことができない。

 じつは、柳ヶ浦高校の教え子に上間永遠(うえま・とわ)という投手がいました。彼は高校卒業後、四国アイランドリーグplusに行きたいと言ってきました。本来なら高知を紹介すべきなのでしょうが、最近の高知は実績がなかったので徳島を紹介しました。そこで順調に力をつけ、昨年のドラフトで西武から7位で指名されNPB入りしました。

 やはり優勝争いするチームは選手個々の意識が高いですし、考えて野球をしています。これは昔も今も変わらない。野村さんから教えてもらったことをひとつずつ教えています。目標は、まずは優勝争いできるチームにすること。そうすればスカウトの目にとまりやすいですし、選手のモチベーションも上がりますから」

 四国アイランドリーグplusは6月20日から今シーズンのペナントレースを開始した。試合数も削減し、当面は無観客で試合を行なっている。今年67歳になった定岡は、四国の地から若い選手たちの未来を見つめている。

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