巨人でカラを破れなかった選手たち。高田萌生は楽天で才能の開花なるか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 巨人のような選手層の厚いチームが出場機会に恵まれない選手をトレードに出すことは、球界の人材活性化という点から見ても歓迎すべきことだろう。

 巨人から移籍して大化けした代表例は大田泰示(日本ハム)である。2008年に2球団の競合の末にドラフト1位で意中の巨人に入団した。だが、ファームでは結果を残しながらも、一軍では厚い選手層に阻まれた。自転車で転倒してケガするなど、自己管理の甘さを指摘されることもあった。

 8年間在籍した巨人では、一度もレギュラー定着を果たせず。2016年オフに大田、公文克彦と吉川光夫(現・日本ハム)、石川慎吾の2対2の大型トレードが成立した。

 すると、栗山英樹監督の辛抱強い起用も後押しして、大田の才能が開花。積極的な打撃スタイルで右に左に強烈な打球を飛ばし、守備でも身体能力の高さを生かせるように。2018年以降は「犠打をしない攻撃的な2番打者」としての役割を与えられ、水を得た魚のように活躍している。

 日本ハムはかつて主力の糸井嘉男(現・阪神)をオリックスにトレードしたように、必要とあらばフレキシブルにトレードを活用してきた。そのため大田に限らず、前出の公文や、昨季にトレードで獲得した宇佐見真吾と元巨人組が働き場を得ている。

 公文は左腕から繰り出す150キロ前後の快速球は高く評価されていたものの、安定感に欠け一軍定着を果たせずにいた。大田とともに日本ハムに移籍すると、巨人時代後期から取り組んできたサイドスローが馴染み中継ぎ陣に定着。セットアッパーに宮西尚生という球史に残る鉄腕がいるため、大事な場面を任される頻度は多くはなかったが、移籍後の3年間で159試合に登板。7月11日に黒星を喫して途絶えたものの、入団以来182試合連続無敗というNPB新記録を樹立した。

 宇佐見は、巨人編成陣のミスとも言えるドラフト戦略でだぶついてしまった強打の捕手だった。城西国際大からドラフト4位で入団して2年目の2017年に、21試合の出場ながら打率.350、4本塁打とブレークの兆しを見せていた。

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