ヤクルト村上宗隆の数字がすごい。データ3つで「最強の4番」を証明 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 そうしてプロ野球はコロナ禍の影響により、6月19日に約3カ月遅れのスタートとなったが、村上は開幕から4番を任され、ここまで20試合で、それに相応しい数字を残している。

20試合/打率.365/本塁打3/打点21/出塁率.460/得点圏打率.417
※数字は7月14日現在(以下同)

 なにより、"4番"として求められるレベルも上がり、相手の攻めも昨年以上に厳しくなっているにもかかわらず、これだけの成績を残している。さらに、昨年と比較するにはサンプル数は少ないが、村上の成長度がよくわかるデータがある。

■対左打者との対戦成績
2019年/212打数42安打/打率.198
2020年/26打数9安打/打率.346

■三振数と三振率
2019年(143試合)/184個/三振率.310
2020年(19試合)/16個/三振率.184

■2ストライク後の打率
2019年/315打数47安打/打率.149
2020年/36打数14安打/打率.389

 プロ野球の世界で2ストライク後の打率が3割を大きく超えることは少なく、ほとんどが2割台だ。昨年までの村上であれば、2ストライクと追い込まれたら三振を覚悟したものだが、今年は追い込まれてもボール球には手を出さず、打てるボールをひたすら待つ。しかも、ただ打つだけでなく、瞬時に状況を判断し、何をすれば得点につながるのかを考えて打席に立っている印象が強い。

 まさにチームバッティングを体現しているのだが、プロ3年目の20歳で、まだ優勝争いも経験したことのない選手が、このような打撃ができることは驚異的というしかない。

 7月2日の広島戦(神宮)は、まさに今年の村上を象徴するような試合だった。まず4回裏、無死三塁でマウンドには九里亜蓮。村上は簡単に追い込まれるも、2−2までカウントを整え、5球目にコンパクトなスイングでライト線にタイムリー二塁打。

 5回裏には同じく九里を相手に、3−2のフルカウントから四球を選びチャンスメイク。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る