オリックスの悲劇に学べ。同一カード6連戦の戦い方を名コーチが解説 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Kouichi
  • photo by Kyodo News

 逆に言えば、4、5戦目をしっかりした形で白星を稼いでいるチームは強い。それを可能にするのは、やはり投手力ではないだろうか。

 言うまでもなく、先発投手をどれだけ揃えられるかは重要なことだが、今シーズンはリリーフの使い方こそ、異例のシーズンを乗り切る大事な要素になると見ている。

 勝つチームというのは、いわゆる"勝ちパターン"の投手リレーを確立している。先発が6回まで試合をつくれば、7回からはどんな顔ぶれでつないでいくか。チームによっては、相手の打順や相性に関係なく、イニングによって誰に任せるのか決めている。無論、こういうチームは強い。

 ただ、今季のように休みがほとんどないと、投手マネジメントは難しくなる。

 普段のシーズンであれば、たとえば先発が序盤で崩れた試合になれば、いつもとは違う継投で臨むことがある。ある程度、大敗しても仕方ないと割り切って戦う、いわゆる"捨て試合"というものだ。

 近鉄がリーグ優勝を果たした2001年、私はヘッドコーチを任されていたが、ある試合で序盤に大量点を取られたことがあった。その時、投手コーチの小林繁が私のところに来て「今日の試合、捨ててもいいですか」と言ってきた。こちらとしては「直接、梨田(昌孝)監督に言ってくれ」と内心思ったが、小林も私のほうが言いやすかったのだろう。そこで監督に進言し、その試合はリリーフを温存して負けた。

 ただ、これは同一カード3連戦だからできることであって、6連戦となると難しい。

 野球における流れとは不思議なもので、1試合のなかにも、3連戦のなかにも、当然6連戦のなかにもある。オリックスが5連敗のあと、エース山本由伸でも抑えられなかったように、"流れ"は侮れない。

 だからこそ、嫌な流れの時はいかにして早く食い止めかが重要になるわけだが、だからといって毎試合必勝リレーで戦っていたらパンクするのは時間の問題だ。つまり必勝リレーを確立しつつも、試合展開や相手の状況によって、何パターンか継投の形を用意しておく必要がある。投手コーチにとっては難題を突きつけられた心境だろう。

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