巨人移籍のウィーラーに涙の別れ。なぜ楽天ファンに深く愛されたのか (3ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki
  • photo by Taguchi Yukihito

 かつてウィーラーが語っていた言葉が蘇る。

「日本に来た以上は、日本という国を尊重する。日本の野球を尊重し、ゲームを尊重し、チームメイトを尊重し、ファンを尊重することが大事だと思ったんだ。日本のすべてをリスペクトする。そうでなければ、私が大好きな野球を心から楽しむことができないからね」

 入団1年目から、お立ち台での「アシタモイクワヨ!」のかけ声が定着するなど、ファンの心をつかんだ。翌年からそのパフォーマンスが見られなくなり、「何か考えているネタはないか?」と尋ねると、いたずらっぽく笑いながらこう答えた。

「まだまだ日本を勉強している最中だから、用意しているものはないね。『クルリンパ』」

 ダチョウ倶楽部の上島竜兵のモノマネを披露するウィーラーの姿は、もはや日本人のようだった。

「自分のキャラクターを大事にしているとハッピーになれる。チームのみんな、ファンが乗ってくれれば、私も元気になれるんだ」

"個"を前面に出し、相手が乗ってくれれば全力で応える。

 また、アニメ『ハクション大魔王』のキャラクターに似ていることからコラボレーションが実現し、冠試合「ウィーラーデー」まで開催された。大反響を呼んだ"ウィーラー大魔王"は、彼の代名詞となった。

 これからは巨人のウィーラーとなる。それでも彼の個性は新しいチームでも受け入れられ、浸透し、元気の源になるだろう。そんな姿を楽天ファンは誇るに違いない。そしてこう叫ぶのだ。

「さらばZ。日本シリーズでまた会おう!」

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